
Ψ Posted by Kayoko Moriyama2016.7.28
謎のいきもの?ほじほじくんがみつけた、不思議でうつくしい星の絵本「ほじほじくんの星」。
読んだ後、つい空をみあげて星をさがしたくなってしまうような、かわいらしい物語です。
木の輪切りをそのまま版画にしてしまう木口木版(こぐちもくはん)という技法の、素朴でありながら、
微細でうつくしい世界観にも注目してみてください。
←はじめての方は、VOL.1から
『ほじほじくんの星』vol.2

満天の星空が、広がっているではありませんか
「すご~~い!!」
こんなにたくさんの星ぼしを見るのは初めてです
ビー玉の中とは、くらべようがありません

きれいなのでほしくなりました
穴に落ちそうなくらい手をのばし、バタバタふり続けました
「やった つかんだ! この星はぼくのもの
なんてきれいなんだ」

天の星空に、ちょっとした異変がおきていました
星がだんだん消えて、暗がりが広がっていたのです
でも、数えきれない星のこと
それに気がついたひとは、いなかったかもしれません
←はじめての方は、VOL.1から
VOL.3→
森山佳代子(版画家)
東京藝術大学油画科卒業。1997年「第13回ニッサン童話と絵本のグランプリ」佳作。
1998年 銅版画制作開始。
2014年 木口木版画制作開始。本作品で、2015年「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」入選 。
東京藝術大学油画科卒業。1997年「第13回ニッサン童話と絵本のグランプリ」佳作。
1998年 銅版画制作開始。
2014年 木口木版画制作開始。本作品で、2015年「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」入選 。
*森山さんにききました*
この物語を骨太に支えているのは、ほじほじくんが見つけた宝物を
読んでいる側にも「宝物だ」と思わせてくれる、絵の説得力にあります。
並べてみていくと、好きなものを、小さな小箱にコレクションしていく心地よさがあって、
どことなく活版印刷のような「モノ感」を感じます。
もちろん木に彫って描く絵であるから、ふつうに紙とペンで描くのとは、ちがっているのでしょうけれど。
そのあたりから話を伺ってみました。

招待状 9.6×9.1 2015年6月制作(原版)
●紙とペンとで描く絵とのちがいってなんでしょう?
(木口木版は)絵を反転して版を制作します。右向きの人物は左向きになりますね…
これが、けっこう困ります。
●描き方について、もう少し詳しく教えてください。
木版は黒地からのスタートです。彫ったところが白くなる。
輪郭を表現したい場合は、周りを彫って"線を彫り残す"ことをします。
(これを黒線法といいます。)
それと、明暗の階調を表現する彫り方(白線法)とで作品はできています。
白線法というのは、陰影を表現して立体感を与えることで、
私は彫りながらデッサンしている感じがします。
●たしかに、そこは紙への描き方との大きなちがいですね。
描くのに難しいポイントってあったりしますか?
気をつけることは、彫り過ぎないこと。形が無くなってしまいますから!
それと、ペンに当たるビュランは、直線にしか彫れないので、
曲線や円を彫るには版木を回転させます。
●想像するだけでもなかなか簡単にはいかなそうですね。
木口木版を始めて2年過ぎました。けれど、まだキレイな円を彫る事ができません。
ビュランを使い熟すには時間がかかりますね。
●「慣れていないこと」と「表現される味わい」について関係があったりしますか?
今の時点では、慣れていない事に助けられていると思います。
どんな彫り方をしようかな?って、もたもた時間をかけてグチャグチャ彫っていますから。
未熟の勢いが味わいになっている感じでしょうか。

夢もち時間 11.6×9.3 2015年10月制作(原版)
森山さんは九月に個展を開催されます。詳細は次回お知らせいたします。
© Kayoko Moriyama
< キュレーター >
西村祐貴 / Yuuki Nishimura
絵本作家 / イラストレーター。
もじとことばのデザインユニット二歩としても活動中。
HP:www.nishimurayuuki.com
二歩:www.unit-niho.com
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