
Ψ Posted by Kayoko Moriyama2016.6.29
謎のいきもの?ほじほじくんがみつけた、不思議でうつくしい星の絵本「ほじほじくんの星」。
読んだ後、つい空をみあげて星をさがしたくなってしまうような、かわいらしい物語です。
木の輪切りをそのまま版画にしてしまう木口木版(こぐちもくはん)という技法の、素朴でありながら、
微細でうつくしい世界観にも注目してみてください。
『ほじほじくんの星』vol.1

お気に入りのビー玉をのぞくと
そこには、星空が広がっているようです

「今日は、丘のむこうの湖まで行ってみよう
湖色のビー玉が埋まっているかもしれない」

堀りおこします
「あれれ おかしいぞ」
急に砂が地面に吸い込まれるようになくなり
ポッカリ 穴があきました
VOL.2→
VOL.3→
森山佳代子(版画家)
東京藝術大学油画科卒業。1997年「第13回ニッサン童話と絵本のグランプリ」佳作。
1998年 銅版画制作開始。
2014年 木口木版画制作開始。本作品で、2015年「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」入選 。
東京藝術大学油画科卒業。1997年「第13回ニッサン童話と絵本のグランプリ」佳作。
1998年 銅版画制作開始。
2014年 木口木版画制作開始。本作品で、2015年「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」入選 。
*森山さんにお聞きしました*
物語もさることながら、夜の表現をはじめとして、細かい世界観が魅力的。
絵の中の夜空に落ちていきそうな、不思議な心地よさがあります。

こういう味わいってどこからやってくるんだろう。どうやって表現しているんだろう。
そんな素朴な疑問のとっかかりに「木口木版」という技法があるようです。
そこで作者である森山さんに聞いてみました。
●木口木版って、どのように絵を描いていくものなんでしょうか?
「まず彫り跡を見やすくするために、版面を墨で黒くします。
ビュランで彫ると木肌が現れます。それが暗闇から光が射してくるように見えるのです。」
●彫る感覚ってどんなところに魅力があるのでしょうか?
「ひと彫りする度に版木から光が射してくる。彫り進めていくと線が形になり、空間に変化していきます。
それは面白い事で、初めて木口木版を制作した時に感じ夢中になりました。
輪切りされた木の形にも癒されるのだと思います。」
●木は、どんな素材を使っているんでしょうか?
「版木は、ツゲなどの堅い木材の木口を使用します。
ですから細密に彫ることができます。
先輩作家の方々が神業的超絶技巧で彫られた緻密で美しい作品は、かつて言われたように『掌の上の宝石』です。」

気狂いお茶会 10.2×11.4 2015年5月制作
これが実際の「版」なのだそうです。木の天然の輪郭を活かした彫刻作品。うつくしい!
次回も、引き続き版画の技法についてお伺いしていきます。
© Kayoko Moriyama
< キュレーター >
西村祐貴 / Yuuki Nishimura
絵本作家 / イラストレーター。
もじとことばのデザインユニット二歩としても活動中。
HP:www.nishimurayuuki.com
二歩:www.unit-niho.com
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