
♢ Posted by Kite2014.5.26
Kite(カイト)メンバー5人の作品を5回に分けて紹介する連載「Kiteの本」。
3回目は、新しいピクチャーブックの可能性を追求する3人組のユニット、
MAUの本を紹介します。
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本をかたち作る絵、文、デザイン。
その3つの要素を切り離すこと無く、お互いが刺激し、挑発し、
そして補完しあうような「絵・文・本」の新しい関係性の創造を目指して
活動を続けるMAUの本。一見シンプルなデザインに隠された造本の工夫も
その魅力のひとつです。
1.「80」
「昔は上手な絵描きさんだったのよ。」
いつもお酒をのんで、赤い顔をしているじいちゃんしか知らないレン。
彼は、そんな祖父に絵を見せてほしいと頼むが、家には一枚の絵も無く、
絵を描く祖父の姿もなかった。
タテに流れる物語とヨコから聞こえる誰かの言葉。
イラストの色彩と写真から聞こえる物音。
ページに散りばめられたイメージの断片から、昔の記憶が香りのように
立ち上がってくる、どこか懐かしい印象の絵本。
製本は背糊固めという技法を用い、
わざと背の糊をむきだしにしたデザイン。
2.「ブルーとダイダイ」
ある海辺の町。祭りの日。
遊女、海女、観光客、少年、うつぼ、馬。
囁かれる会話の端々から見えてくる人々の表情や町の景色。
夜、闇の中を松明の火が転々と並び、それはゆっくりと海へ向かっていく。
なんだかこわい、でも惹かれるという波打ち際の感覚が、
湿った潮風とともにページの間を漂っています。
鮮やかな赤い糸で綴じられた中綴じ製本。
グラシン紙の上に淡く浮かぶタイトルは、
水面に反射する光を彷彿させます。
3.「 p 」
新聞紙のようなざらっとした紙。
その上に浮遊するハサミで切りとられたフォルムは、
コピー機を通した粒子の粗さと相まって、ひどく現実感を欠いた印象を与えます。
高度15kmを飛ぶ飛行機と、その中で展開される暴力的かつ牧歌的な物語。
地に足の着かない不安定なイメージは、読み手自身の足下をもすくい、
気付けば眼下に大海原が遠く暗く広がっています。
タイトルの「p」はpast(過去)/present(現在)/pilot/people/publicなどの頭文字。
別冊で英語版も出版されています。
製本には糸の代りに針金を使用し、
硬質な絵本の印象をそのまま綴じ込んでいます。
○以上3冊の本は、現在開催中の「Kite Book Store@SPBS 5/5-6/1」の会場、
またはKiteのWebShopでご購入頂けます。
Kite Book Store@SPBS
http://www.kitebooks.info/news/
Kite Shop
http://kitebooks.thebase.in/
○また、Kiteのwebサイトにて試し読みができます。
80
http://www.kitebooks.info/80-yomu/
ブルーとダイダイ
http://www.kitebooks.info/blueorange-yomu/
p
http://www.kitebooks.info/p-yomu/
次回のKiteの本 vol.4は、「加納千尋の本」を紹介します。
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Kite Book Store@SPBS 5/5-6/1
会期:5/5(Mon)-6/1(Sun)Part 1 「読む」5/5(Mon)-5/18(Sun)
Part 2 「見る」5/19(Mon)-6/1(Sun)
Part 1,2「使う」5/5(Mon)-6/1(Sun)
時間:12:00-24:00 (Mon-Sat)/12:00-22:00 (Sun)
会場:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS書斎ルーム
東京都渋谷区神山町17-3 テラス神山1F
Kite Book Store@SPBS
http://www.kitebooks.info/news/
SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS
http://www.shibuyabooks.net/

本づくりから販売までを行う、アーティストと
デザイナーによるインディペンデント・レーベル。
読書は、空にある凧をたぐるようなもの。
より高く、遠くへ、遠くへ。
見上げているのは「Kiteさん」です。
http://www.kitebooks.info
https://www.facebook.com/kitebooks
「Music Jacket Gallery 2014」
Aruta Soup solo exhibition “BLACK JOKE” THIRD-EYE