
◬ Posted by Arisa Harada2017.8.5
流行(ランウェイ)から逃亡(ランナウェイ)した洋服たちの脱走劇を想像します。
どこから来てどこへ行くのか知れない洋服たち、それに袖を通していたかもしれない人たち。
やわらかい布に包まれた人生たち。
●ヨット柄の開襟シャツ
子供のころからずっと泳げない。正確には泳げるが息継ぎができない。
息が続くうちに少しでも前へ進んでおこうと猛進し、とつぜん力尽きるのだ。
大人になり水泳の授業というものがなくなって随分経つのに、今でもどこか息苦しい。
びっしりと小さなヨットが敷き詰められた開襟シャツを南行きのスーツケースに詰める。
この数百隻、数千隻の舟はどこへ向かうのだろう。門出。こんなにも門出にふさわしいものはない。
プールになんか行くから体一つで水へ放り込まれて大変な目に遭うのだ。いっそのこと、もっとたくさん水のあるところへ行けばよろしい。
私には舟があるのだ。体を濡らさなくたって、小麦色になることができる。
ひりひりと熱い皮膚を予感しながら生まれた町を出た。
いつか泳げるようになるなら、背泳ぎがいい。さよならに似ているから。
© Arisa Harada
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はらだ 有彩 / Arisa Harada テキストとイラストレーションをテキスタイルにして身につけるブランド《mon.you.moyo》を展開しています。 モチーフは強い女の子たち。 monはフランス語で「私の」、youは英語で「あなた」、moyoはスワヒリ語で「たましい」。 私のあなた、そのたましいを必ず手に入れる。 web site : http://arisaharada.com twitter:https://twitter.com/hurry1116 |
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《花の命とヤバい女の子/八百比丘尼》

福井県をはじめ全国各地に伝わる不老不死の少女の伝説、八百比丘尼をテーマにしています。
八百比丘尼は人魚の肉を食べて永遠の命を手に入れた、「命短し恋せよ乙女」というフレーズが全く当てはまらない女の子です。
カレンダーの中のどこかの一日、誰かの大切な一日、何でもない一日、うれしい日、悲しい日、その全ての日々を八百比丘尼は生きているかもしれない、と思います。
▼神戸
【会期】
8/5(土)~8/15(火)
11:00~20:00(最終日19:00まで)水曜休
【場所】
カフェ・雑貨calas
(兵庫県 JR元町駅 徒歩5分)
〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通2-7-8 元町防災ビル2F
▼東京
【会期】
9/2(土) 11:00~19:00
9/3(日) 11:00~18:00
【場所】
サイト青山
(東京メトロ 銀座線・半蔵門線・大江戸線「青山一丁目」駅 5番or3番出口 徒歩5分)
〒107-0062 東京都港区南青山 2-7-9
< キュレーター >
タカヒロコ
イラストレーター/愛鳥家。生き物の力に動かされ、私もまた生きている。
web site : http://takahiroko.net
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