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流行(ランウェイ)から逃亡(ランナウェイ)した洋服たちの脱走劇を想像します。
どこから来てどこへ行くのか知れない洋服たち、それに袖を通していたかもしれない人たち。
やわらかい布に包まれた人生たち。






●赤い水玉模様のセットアップ



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夏のことを思い出せなくなっていた。

去年まで、私は確かに夏を愛していた。日増しに遅くなる夕暮れにどきどきしたし、計画を立てて旅にも出た。小説も書いた。
ちゃんと「もうこの夏が最後かもしれない」と思って感傷的になったり、桃を剥いたり、『アップルグリーンのカラーインクで』を読んだりして過ごした。

だけど今年はなんだかおかしい。
とうに衣替えして半袖のシャツを着ているし、自分の頬や背中から日焼け止めの匂いだってしているのに、いくらイメージしてもあの燃え盛る暑さを思い出せない。
気温はどんどん上がるのに、いつも微かに涼しく、気だるい。

例えば、今でも半年前の会話を思い出してその時とすっかり同じように激昂することはできる。今でも鮮明に怒りを感じる。私の心は少しも凪いでいない。
それなのに夏の皮膚感覚、夏の高揚と焦燥、夏の激情だけが思い出せないのだ。

私の熱量はどこへいってしまったのだろう。何かを受け入れたせいでこうなったと表明し労わりを受けるには、私は自分を愛しすぎている。
太陽がいくつも昇っているような赤い模様のブラウスとスカートを手に取る。
確かに、確かに燃えていたはずだ。強い日差しを浴びて発光している時こそ、この肌は明度を上げるのだ。





© Arisa Harada







harada はらだ 有彩 / Arisa Harada
テキストとイラストレーションをテキスタイルにして身につけるブランド《mon.you.moyo》を展開しています。
モチーフは強い女の子たち。
monはフランス語で「私の」、youは英語で「あなた」、moyoはスワヒリ語で「たましい」。
私のあなた、そのたましいを必ず手に入れる。

web site : http://arisaharada.com
twitter:https://twitter.com/hurry1116



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< キュレーター >
タカヒロコ
イラストレーター/愛鳥家。生き物の力に動かされ、私もまた生きている。
web site : http://takahiroko.net







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