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流行(ランウェイ)から逃亡(ランナウェイ)した洋服たちの脱走劇を想像します。
どこから来てどこへ行くのか知れない洋服たち、それに袖を通していたかもしれない人たち。
やわらかい布に包まれた人生たち。






●暗い色のレースのドレス




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真夜中の散歩が好きだ。オフィスにはとても着ていけない洋服でめかし込んで、人気のない夜の住宅街を一周する。

その夜は珍しく雪が降って、私ははしゃいだ。今夜はとっておきのドレスを選ばなければならない。
淡く変色してしまって、肩のところが少し破れているレースのドレス。
ヴィンテージというと格好良いけれど、何のことはない、ただのぼろぼろの古着である。でもとびきり気に入っているのだ。

外に出ると薄明るく、積もり慣れない水っぽい雪が砂利のように辺りを覆っていた。
濁った雪の上を進みながら、私は「ウエディングドレスというものはなぜ真っ白と決まっているのか知らん」と考えていた。
そしてつい最近名前のない関係になったばかりの人を思い出していた。恋というものを排除した途端、私たちはとても仲良しになったのだった。

黄変した古いレースが街灯をざらざらと反射する。
ここにあるのがたっぷりと眩しい雪原でなくてよかった。鈍く光る雪の上で、純白でないこのドレスが汚いもののように見えなくてよかった。
明度から開放された全ての美しいグラデーションを愛し、私は猛スピードで歩いていた。






© Arisa Harada







harada はらだ 有彩 / Arisa Harada
テキストとイラストレーションをテキスタイルにして身につけるブランド《mon.you.moyo》を展開しています。
モチーフは強い女の子たち。
monはフランス語で「私の」、youは英語で「あなた」、moyoはスワヒリ語で「たましい」。
私のあなた、そのたましいを必ず手に入れる。

web site : http://arisaharada.com
twitter:https://twitter.com/hurry1116



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京都・清水五条のフリーペーパー書店 只本屋さん(https://t.co/5dxtMLfgmM)の紙袋を一月~三月までデザインさせていただきます
京都にまつわる民話の女の子が本に夢中になって悪事を忘れるというテーマで、毎月ストーリーが変わります
只本屋さんは毎月末の土日11:00~18:00 OPENです


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(一月の紙袋のキャラクターは《宇治の橋姫》、何もかも捨てて驀進する激情の炎の赤色と、鬼になった橋姫の強さをイメージした金色で刷っていただきました)










< キュレーター >
タカヒロコ
イラストレーター/愛鳥家。生き物の力に動かされ、私もまた生きている。
web site : http://takahiroko.net







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