2.WEB佐々木マキ「風の歌を聴け」 (680x440)

ちひろ美術館・東京にて、村上春樹とイラストレーターをテーマにした初の展覧会が開催



(以下、プレスリリースより)

現代日本を代表する小説家のひとり、村上春樹(1949-)は、さまざまなイラストレーターと共作をしています。
本展では、これまで、それぞれの文脈で語られてきた文学とイラストレーション相互の関係に焦点をあて、
村上春樹と佐々木マキ(1946-)、大橋歩(1940-)、和田誠(1936-)、安西水丸(1942-2014)とのコラボレーションを紹介します。
小説、エッセイ、翻訳、絵本など多岐にわたるジャンルで書かれた村上の文章は、それぞれ異なる表情をまといながら、鍛え抜かれた文体に支えられています。
4人のイラストレーターも作品に合わせて画材や技法を変えながら独自の画風で対峙しています。文章を支える文体、絵を支える画風にも着目し、相乗効果によって現れる豊かな世界を紹介します。



佐々木マキ – 羊男の肖像


1.WEB佐々木マキ「羊男のクリスマス」より (360x500)
佐々木マキ ©Maki Sasaki 1985 by Medialynx Japan
『羊男のクリスマス』(講談社)より1985 年 個人蔵



2.WEB佐々木マキ「風の歌を聴け」 (350x500)
佐々木マキ ©Maki Sasaki 1979 by Medialynx Japan
『風の歌を聴け』(講談社)表紙 1979 年 個人蔵


村上のデビュー作『風の歌を聴け』と、続く『1973 年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』の初期3 部作の表紙を飾ったのが佐々木マキの作品です。小説とともに広く親しまれてきた表紙の絵は、かつて村上が経営していたジャズ・バーに飾られていたこともありますが、今回が初公開となります。



大橋歩 – シンプルな線


3.WEB大橋歩「猫に名前をつけるのは」 (479x500)
大橋歩 「猫に名前をつけるのは」『サラダ好きのライオン村上ラヂオ3』(マガジンハウス)より 2012 年 個人蔵

2000 年から2012 年まで断続的に雑誌「anan」に連載されたエッセイ「村上ラヂオ」は、村上自身の希望により大橋歩の銅版画とともに発表されました。日常を伝える村上の飾らないことばは、大橋の「説明しすぎない」シンプルで滋味のある線と相まって、エッジの効いたユーモアを伝えています。
この初期3部作に重層的に現れるモチーフを絵本の形に結実させた『羊男のクリスマス』では、「羊男世界」が鮮やかにイメージを結んでいます。



和田誠 – ジャズのごとく


4.WEB和田誠「中国行きのスロウ・ボート」 (358x500)
和田誠 「中国行きのスロウ・ボート」『村上ソングズ』(中央公論新社)より 2005 年 個人蔵


5.WEB和田誠「ジミー・ラッシング」 (298x300)
和田誠 「ジミー・ラッシング」『ポートレート・イン・ジャズ』(新潮社)より 1999 年 個人蔵


村上が翻訳した文学作品の表紙絵や装丁を手がけている和田誠は、20 世紀のアメリカ文学、映画、音楽に造詣が深く、村上と意気投合して、音楽をテーマにした共作に取り組んでいます。
音楽への愛情を共有するふたりの文章と絵はジャズの即興演奏さながらに打てば響く心地よさに満ちています。
また、和田は、村上の全集の絵とデザインも手がけ、友人でもある村上の小説に対して、深い洞察に基づいた明快な視覚化で応えています。



安西水丸 – 村上朝日堂の盟友


d:gtbproof_360-in3折裏_c.tif/
安西水丸『ふわふわ』( 講談社)より 1998 年 個人蔵

“ 村上朝日堂” シリーズを始め、村上が最も多くコンビを組んでいるイラストレーターが安西水丸です。
1981 年から安西が亡くなる2014年まで、実に30年以上にわたり、短編小説、エッセイ、紀行文、工場見学記、
絵本やかるたまで数多くの共作に取り組んでいます。公私にわたり親交のあったふたりは、時代の空気とともにひとつの世界観をつくり、既成のジャンルを超えた境地で洒脱に遊んでいます。



和田誠と安西水丸と村上春樹 – 同じ空気を吸っているんだな、ということ



7.WEB安西水丸「カティサーク自身のための広告」 (500x458)
安西水丸 「カティサーク自身のための広告」『象工場のハッピーエンド』(CBSソニー/講談社)より 1983年 個人蔵


8.安西水丸「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」 (1)
安西水丸 『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』( 朝日新聞出版/新潮社)より 1997年 個人蔵

日本のイラストレーションを牽引してきた和田と安西の作品は、画風は異なりながら、都会的で洗練されたイメージを生みだしています。ふたりと親交のあった村上は、和田と安西の共作に文章を寄せ、村上のアンソロジーにふたりの共作のイラストレーションを使うなど相互に関わりを持っています。彼らの共作からは、東京・青山の文化的な土壌と時代の空気が色濃く垣間見られます。安西が亡くなる直前に村上が依頼し装幀を和田が引き継いで仕上げた作品も展示します。


9.安西水丸、和田誠「仲良し」
和田誠、安西水丸 「仲良し」 2010 年 個人蔵




お二人とも、画風がいかにも都会的というか、細部の始末がいちいち洗練されている。文章にたとえれば、文体がしっかりしていて、それでいて押しつけがましいところがない。洒脱でありながら、乱れるところがない。こういうのはあるいは青山のバーで長年お酒を飲んでいるうちに培われるものなのかもしれない ― とまでは言わないけれど、とはいえ、そういう部分ってきっと少しはあるんだろうなという気がする。
村上春樹 2002 年
「同じ空気を吸っているんだな、ということ」『NO IDEA』( 金の星社)2002 年より




村上春樹(1949-)
1949年京都生まれ。『風の歌を聴け』(79年)で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。『羊をめぐる冒険』(82 年)で野間文芸新人賞受賞。『ノルウェイの森』(87 年)がベストセラーとなる。海外でも高く評価され、2006 年フランツ・カフカ賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞を受賞。その他受賞多数。




村上春樹とイラストレーター - 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-

会 期:2016年5月25日(水)~8月7日(日)
時 間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 (祝休日は開館、翌平日休館。※8/1(月)は開館します)
入館料:大人800円/高校生以下無料
    ※グループ(有料入館者10名以上)、65歳以上の方、学生証をお持ちの方は100円引/障害者手帳ご提示の方は半額、
     介添えの方は1名まで無料/視覚障害のある方は無料/年間パスポート2500円

会 場:ちひろ美術館・東京
    東京都練馬区下石神井4-7-2




主催:ちひろ美術館 
後援:絵本学会、(公社)全国学校図書館協議会、(一社)日本国際児童図書評議会、日本児童図書出版協会、
   (公社)日本図書館協会、杉並区教育委員会、中野区、西東京市教育委員会、練馬区 
協力:安西水丸事務所、イオグラフィック、村上春樹事務所、メディアリンクス・ジャパン、和田誠事務所、
   クリエイションギャラリーG8、スペースユイ、金の星社、講談社、新潮社、中央公論新社、ナナロク社、
   文藝春秋、平凡社、マガジンハウス
助成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団






【展示関連イベント】


●「村上春樹とイラストレーター」スライドトーク
村上ファンが集うブックカフェ「6 次元」の店主、ナカムラクニオさんによる鑑賞会です。
ナカムラさんならではの視点から、展覧会を楽しみましょう。
5/28(土)15:00~
講師:ナカムラクニオ(ブックカフェ「6 次元」店主/ 映像ディレクター)
定員:35 名 参加費:1000 円
*要申し込み 4/28(木)受付開始


●読書会「村上春樹を読もう」
ナカムラクニオさんと展覧会にまつわる村上春樹作品を読みましょう。
6/11(土)17:10~
進行:ナカムラクニオ(ブックカフェ「6 次元」店主/映像ディレクター)
定員:20 名 
参加費:2000 円 (カフェのドリンク+スイーツ付) 
*要申し込み 5/11(水)受付開始


●担当編集者が語る村上春樹の作品とイラストレーション
30年近く村上春樹担当の編集者をつとめ、今も多くの本や文庫に関わる新潮社の寺島哲也さんが、
貴重なエピソードも交えて村上作品の装幀やイラストレーションについて語ります。
7/3(日)15:00~
講師:寺島哲也(新潮社)
定員:50 名 参加費:700 円 
*要申し込み 6/3(金)受付開始


●絵本カフェ 期間限定メニュー
会期中、絵本カフェにて『風の歌を聴け』に登場する鼠の好物「ホットケーキのコカコーラがけ」をご提供します。
村上作品の世界をカフェでもぜひ味わってください



【展示関連書籍】

村上春樹とイラストレーター
-佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-
監修:ちひろ美術館
発行:ナナロク社
5月下旬発売予定
A6上製 予価 2200円 320ページ






【同時開催イベント】- 絵のなかのわたし – ちひろの自画像展

主催:ちひろ美術館


第二次世界大戦終戦のとき、26歳だったいわさきちひろ。戦後、懸命に自分の生き方を模索していた時期に、ちひろは多くの自画像を描いています。
本展では、終戦直後から1950年代半ばまでに描かれた24点の自画像を初めて一堂に展示します。また、ちひろ自身の投影ともいえる後年の少女像や母親像、自伝的絵本『わたしのえほん』なども展示し、その絵に映し出される彼女の生き方や想いに迫ります。


10.WEB自画像1940年代後半 (353x500)
自画像 1940年代後半


11.自画像1947年
自画像 1947年11月21日


12.WEB顔をおおう自画像1947年頃 (500x386)
顔を覆う自画像 1947年頃



戦後の自画像群

ちひろが特に多くの自画像を描いたのは、戦後、画家を志して疎開先の信州から単身上京した1946年、47年にかけてです。鉛筆やコンテの荒々しいタッチで描かれた自画像には、あらたな自分に生まれ変わろうとする気概が感じられます。愛する人に出会い、結婚してから、自画像は次第に穏やかな表現へと変化していきます。ちひろにとって、自画像は迷いながらも懸命に生きる自己の記録であったのでしょう。


13.WEB緑の風のなかの少女 (500x396)
緑の風のなかの少女 1972年


14.WEB絵をかく女の子 (500x476)
絵をかく女の子 1970年


15.WEB母の日 (461x500)
母の日 1972年



絵のなかのちひろ― 少女像、母子像

母親となってからは、息子のスケッチが増えるのに伴い、自画像は次第に少なくなっていきました。しかし、50歳に近くなったころから、子どものころの自身を投影したような少女像が描かれるようになっていきます。「子どもを描いていると、自分の小さいときのことを自分で描いているという感じがします」と、ちひろは語っていました。一方で、絵のなかの母親の姿にちひろ自身が重なる作品もあります。子どもを愛情で包み、守ろうとする母の姿はちひろの生き方や願いを象徴しています。


いわさきちひろ(1918-1974)
福井県武生市(現・越前市)に生まれ、東京で育つ。東京府立第六高等女学校卒。藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。1950年松本善明と結婚、翌年長男を出産。1950年紙芝居『お母さんの話』を出版、以後絵雑誌や絵本などに、主に子どもをテーマに数多くの絵を描く。
1974年55歳で没。現存する作品約9500点がちひろ美術館に収蔵されている。





ちひろ美術館 ウェブサイト
http://www.chihiro.jp/




『レオ・レオーニ 希望の絵本をつくる人』
まるさんかくぞう
『オーレ・エクセル イン モーション』
『ハーブ&ドロシー』
『木のうた』
『きりのなかのサーカス』
『ママのスカート』
『かさ 』
『ブルックリン・ネイバーフッド』
『Casa BRUTUS 2013年 12月号』
『ファンタジア』