
世界中で愛されるデザインの国スイスの全貌
スイスデザイン展が東京オペラシティ アートギャラリーにて開催。
(以下、東京オペラシティ アートギャラリー プレスリリースより)
永世中立国として独自の道を歩んできたスイスは、デザインの分野でも質の高さとユニークさで世界の注目をあつめる存在です。
実用性と機能性を好み、伝統と最新技術を融合させながら手仕事的なぬくもりと美しさを愛するスイス人気質は、「スイスブランド」として現在に受け継がれています。
日本とスイスの国交樹立150年にあわせて開催される本展は、両国の交流の始まりを導入として、近代デザインの草創期から、その開花を迎える20世紀中葉、そして多様な価値観とアイデアの展開する現在まで、スイスから世界に向けて発信されたさまざまなデザインを紹介します。
鉄道や航空など「観光」におけるデザイン、そして時計や靴、家具やファブリックなど多様な領域におよぶ各ブランドの取り組み、その歴史と背景、思想とコンセプトは、スイスのデザイン文化の豊かさを身近なところから語ります。
またル・コルビュジエ(1887-1965)とマックス・ビル(1908-1994)の二人の巨匠の仕事は、スイスデザインの合理性と普遍性を考える手がかりとなるはずです。
そしてスイスで最も権威のあるスイスデザインアワードの近年の受賞者たちの先端的な作品は、私たちの生活とデザインの未来を感じさせてくれるでしょう。
世界中で愛されるデザインの国スイスの全貌を紹介する、日本で初めての試みにご期待ください。
1. プロローグ
日本とスイスが国交を樹立した1864年当時に遡って、両国の交流の始まりを証言する版画や資料を紹介、
また「スイスクロス」のデザインやパスポート、紙幣などスイスという国を象徴するデザインでこの国のアウトラインを探ります。
2. 観光・交通のデザイン
小さな国土に雄大なアルプスの高峰や豊かな森と美しい湖をいただくスイス。
19世紀以来発達をとげた観光システムをめぐるデザインは、スイスのデザインの水準の高さを示すとともに、スイスという国のあり方もヴィヴィッドに伝えます。
そして、「観光立国」に果たすデザインの役割は、2020年に東京オリンピックを控えた日本にも通じる今日的なテーマでもあります。
3. スイスブランドの物づくりとデザイン
スイスを代表する8ブランドの取り組みと、そこで受け継がれるデザイン理念を、ダイナミックな展示によって紹介し、スイスのデザイン文化の豊かさを感じていただきます。
バリー
1851年にリボンメーカーとして創業、以後靴の開発に進出して機能とデザインを兼ね備えた製品で愛好されるブランドに。
同社のアーカイブから歴代のポスターや靴、ロゴデザインを紹介。

《「バリー 160周年記念カタログ」表紙》 バリー、2011
ビクトリノックス
1884年に刃物職人カール・エルズナーが創立、マルチツールのアーミーナイフで他の追随を許さない位置を占めています。
そのシンプルで機能的なデザインは、スイスデザインを代表するアイコンの一つです。
プロトタイプや特殊な素材を使用したモデルなど歴史と今を語る約200点を紹介。
USM モジュラーファニチャー
建築家フリッツ・ハラーと三代目経営者ポール・シェアラーが1963年に開発した《USM ハラー》。
それは、同社工場の鉄骨モジュラーシステムを家具に応用して生み出されたシンプルでフレキシブルなモジュール式収納家具です。
建築から家具への移行プロセスや、構築モデルなど貴重な資料とともに紹介。

左《オフィサーナイフ》 ビクトリノックス、 1897
右《USM ハラー》 USM モジュラーファニチャー
クリスチャン・フィッシュバッハ
1819年創立の高級インテリアファブリックメーカー。
もともとファッションファブリックから出発した同社は、高品質なデザインで存在感を示しています。
貴重なデザイン原画とともにデザイン性豊かなアイテムを紹介。

《ECCO》(部分) テキスタイル原画、クリスチャン・フィッシュバッハ、2012
シグ
1908年に金属加工の専門家フェルディナンド・シグが創立、当時新素材であったアルミの加工製品で成長。
1957年にトラベラーボトルの製造を開始、以来シンプルな構造とデザインのアルミボトルが世界中で愛用されています。
ネフ
1958年、クルト・ネフが創立した玩具メーカー。
遊び方が無限に広がってゆく新しい発想の積み木《ネフスピール》を出発点に、新しい商品も世に送り出しながら、
その精巧な作りで時代を超えて使い続けられています。

左《スイスエンブレムレッド》 シグ、(オリジナル制作1957) © 株式会社スター商事
右 クルト・ネフ《ネフスピール》
ネフ(オリジナル制作1958)
©Naef Spiele AG
フライターグ
トラックの使用済みの幌(ほろ)を使ったバッグ類で異彩を放つ同社は、フライターグ兄弟が1993年に創立。
大量消費のサイクルに疑問を投げかけ、リサイクルとデザイン性の両面を追求し、
その相乗効果で現代の社会に独自のヴィジョンを提起しています。

《F06 SERENA》 フライターグ、2012
スウォッチ
カラフルでシンプルな革新的デザインをまとったプラスチック製クォーツ時計で、従来のスイス時計のイメージを塗り替えた同社は、1983年創立。
そのユニークなデザイン哲学とともに、スウォッチ・ファンクラブのクラブ・ウォッチコレクションの限定モデルを一堂に紹介します。

左《WHITE LOOP》 スウォッチ、2014
右 マックス・ビル 《ウルム・スツール》 1989(オリジナル制作1954)武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵
4.マックス・ビルとモダンデザインの哲学
バウハウスに学び、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、建築、絵画、彫刻、理論、教育など多彩に活動したマックス・ビル(1908-1994)は、スイスデザインのみならず、モダンデザイン全般に大きな足跡を残した巨匠です。
グラフィックデザイン、建築、家具、時計などとともに、機能性と美、デザインの社会的責任などをめぐる哲学についても明らかにします。
5. スイスタイポグラフィーとグラフィックデザインの黄金時代
20世紀中葉はスイスのグラフィックデザインの黄金期。
とりわけ、バウハウスや抽象芸術の影響を受けて成立した「スイスタイポグラフィー」は、明快な書体と厳格な構成によって世界のグラフィックデザインを刷新し、今日にいたるまで大きな影響を与えてます。
黄金期を担ったデザイナーの仕事を一堂に紹介します。

ハンス・ノイブルク 《「チューリヒの作家たち展」ポスター》 1965 宇都宮美術館蔵
6. スイスデザインの現在
近年のスイスデザインアワード受賞者のなかから、今日的な課題に取り組み、デザインの可能性をきりひらくアトリエ・オイをはじめとする現代のデザイナー19組の仕事を紹介。
あわせて、スイスデザインの歴史に刻まれたシンプルで機能的なモダンデザインの定番作品も紹介し、スイスデザインの歩みと現在を探ります。

左 アトリエ・オイ《oiphorique》 照明器具、2011
右 ハンス・コレー《ランディチェア》(オリジナル制作1938)
7. ル・コルビュジエとスイスデザイン
近代建築の祖としてあまりにも有名なル・コルビュジエはスイスのラ・ショード・フォンに生まれました。
彼の活動の根底には、素材や伝統、そして自然に対する細やかな感性、そして合理性、機能性、普遍性に対するあくなき信頼といった、スイス的な特性が脈打っています。
本展では、ル・コルビュジエにみられるスイス的な特質を再考し、さらにル・コルビュジエを通してスイスデザインを考えます。

ル・コルビュジエ 《ル・コルビュジエ・センター》1967竣工 ©FLC
スイスデザイン展 SWISS DESIGN
会 期:2015年1月17日(土)〜3月29日(日)休館日:月曜日、2月8日(日)(全館休館日)
時 間:11:00〜19:00 (金・土は20:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,200(1,000)円/大・高生1,000(800)円/中学生以下無料
会 場:東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
※同時開催「収蔵品展050 木を彫る」、「project N 59 河合真里」の入場料を含みます。
※収蔵品展入場券200円(各種割引無し)もあり。
※( )内は15名以上の団体料金。その他、閉館の1時間前より半額、65歳以上半額。
※障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料。
※割引の併用および入場料の払い戻しはできません。
主 催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団、産経新聞社
協 賛:日本生命保険相互会社
後 援:在日スイス大使館、在日スイス商工会議所、スイス政府観光局
協 力:ビクトリノックス、バリー、クリスチャン・フィッシュバッハ DKSH ジャパン株式会社、
ル・コルビュジエ財団、フライターグ、ネフ、スイス連邦鉄道、株式会社スター商事、
スウォッチ グループ ジャパン 株式会社、スイス インターナショナル エアラインズ、
USM モジュラーファニチャー、大成建設株式会社、株式会社竹尾、多摩美術大学
企画協力:株式会社キュレイターズ
オフィシャルウェブサイト
http://www.operacity.jp/ag/exh172/
東京オペラシティ アートギャラリー ウェブサイト
http://www.operacity.jp/ag
https://www.facebook.com/tocag
[関連イベント]ゲスト・ギャラリートーク
「ル・コルビュジエとスイスデザイン」林美佐(大成建設ギャルリー・タイセイ学芸員)(終了)
日時:1月25日(日) 14:00〜15:00
「スイスのグラフィックデザイン」橋本優子(宇都宮美術館主任学芸員)(終了)
日時:2月 1日(日) 14:00〜15:00
「スイスのモダンデザイン群像」柳本浩市(デザインディレクター、Glyph. 代表)
日時:2月 7日(土) 14:00〜15:00
「スイスデザインのいま:最前線を歩く」土田貴宏(デザインジャーナリスト)
日時:2月15日(日) 14:00〜15:00
会場:東京オペラシティアートギャラリー(ギャラリー1・2)
申込不要(参加には当日入場券が必要です。また参加状況により入場制限を行う場合があります。)
*
カラフルなスウォッチやアウトドアで人気のビクトリノックスなど、日本でも広く愛されているスイスデザイン。
手に取るだけでワクワクするその豊かな色使いの背景やコンセプトに触れてみてはいかがでしょう。
Previous
ローカルガイドブック『SHIMOKITAZAWA TRAVEL BOOK』Next
ベ〜タ〜ノ〜モ 第8回「マストアイテム!パスタニット」