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名店。人気の店、有名な店、行列が出来る店、そして歴史がある店。
名店の形はさまざまです。

この「名店手帖」ではそんな名店も、それとは違った形の名店も、
今後名店になりそうな予感のする魅力的な名店(未来の名店)もたくさんご紹介していきます。

今回ご紹介する名店は、架空のホテル『Hotel Japan』をご紹介します。



アートが埋め尽くす外観



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青山にあるワタリウム美術館の目の前にその「ホテル」はあります。

一目見ただけでは何のお店かわからない、そのお店。いや、お店なのかもわからない、といった
不思議な佇まいです。


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キース・へリング、バリー・マッギー、JRなどのアーティストによって描かれた壁面、インベーダーによるドット絵のグラフィティ、
窓ガラスには大量のステッカー。



ドアを開け、足を踏み入れるとすぐ目に入るマス目棚。

そこには刺激的でクリエイティブな、選び抜かれた“オモシロイもの”が並んでいます。

ここは架空のホテル、『Hotel Japan』のギフトショップ。

外国人向けのお土産物屋さんです。

もちろん日本人でも購入できますが、支払いはカードのみですのでご注意を。

このなんとも不思議なお店がオープンした経緯をHotel Japanのオーナー、原野守弘さんに伺いました。



ホンモノの日本を「輸出」していく



「仕事柄、海外に足を運ぶことが多く、大のホテル好きなのです。でも、今のデザインホテルにはまったく満足できない。トレンドとしては既に一周してしまっていて、もはや新しいものがないんです。見た目のデザインだけがんばりました、というところばかりで、アイデアが面白い!というホテルはほとんどない。だから、いつか自分自身でホテルを創りたいなと思っているのですが、そんなお金もないし、リッチな出資者もいない(笑)。なので、まずは“架空のホテルのお土産屋さん”から出発しよう、と考えました。」


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普段なかなか見ることの出来ない商品の数々は、原野さんと密買東京がキュレーションを行っている。


「海外には“日本風”のお店はたくさんありますが、日本のほんとうにクリエイティブなところやユニークなところを紹介できている場所は少ないですよね。どちらかというと、ニセモノっぽいというか(笑)。Hotel Japanは、“外国人向けのお土産屋さん”という形をとりつつ、“ホンモノの日本のクリエイティブ”を輸出していく、といったコンセプトでつくっています。」

並んでいる商品のほとんどは、少数生産や手作りのもの。デザインやアート好きのアンテナに引っかかってくるようなものばかり。

「いつ来ていただいても、独創的でシンプル、そしてクレイジーな商品たちが並んでいるように、と心がけています。」



On Sundaysがあった場所で



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「ここはワタリウム美術館が所有している建物で、以前On Sundaysがあった場所なんです。On Sundaysの始まりは、和多利さんが旅先で見つけた本をキュレーションして販売をはじめたことから出発している。Hotel Japanでも僕が旅先で見つけたものもいくつか販売しているので、偶然にも少し似ています。」

かつて文化の中心地だったこの場所。On Sundaysが現在のワタリウム美術館内に移転してからは、しばらく使われることがなくなってしまった。

「子供服のお店になった時代もあるのですが、その後はずっと倉庫になっていたようです。和多利さんとは、本職であるクリエイティブ・ディレクターの仕事を通じて知り合ったのですが、そのご縁が開店につながりました。」


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人気商品の1つ「SOAP STONES」は原野さん自らが海外から買い付けた商品。

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オランダの彫刻家/物理学者、テオ・ヤンセンの「ミニ・ビースト」はお店に来た方の紹介で扱うことに。



BENTO STYLE

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Hotel Japanのシンプルなロゴはどのような由来があるのか、伺ってみました。

「Hotel Japanのロゴは、幕の内弁当の“仕切り板”をイメージしています。お弁当箱って、実はすごく日本の文化や日本人の価値観を象徴している。それは“詰め込む”ということ。お弁当って美味しいものをすこしずつ色々多種食べたい、という気持ちからできていますよね。一方、欧米の食事文化はどちらかというと“メインディッシュを一つ、どーんと食べたい”という文化。ここが大きく違う。それはお弁当だけでなく、編集とかデザインに対する考え方も同じなんです。海外の朝のワイドショーは、ニュースとスポーツ、そして天気予報だけ、とシンプルな構成なのですが、日本のワイドショーには、占い、お笑い、歌のコーナーなど、ありとあらゆるバラエティのエッセンスが“詰め込まれて”いる。雑誌のエディトリアルデザインも、広告のクリエイティブもそうなっているんです。
Hotel Japanは、外国人向けのお土産物やさんですが、お弁当箱のように、日本の素敵なプロダクトを少しずつ色んな“味”を詰め込んでお届けしたいな、と考えているんです。」


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カラフルにデザインされた包装紙は、弁当箱の仕切り板をモチーフにしたVIシステムでつくられている。これらのアート・ディレクションとコピー・ライティングは、電通の八木義博さんと筒井晴子さんが手掛けた。クリエイティブ・ディレクションは、原野さん自身で。




いつか夢を共有できる日を



架空のホテル『Hotel Japan』。

まだオープンして数ヶ月、しかも現在はまだお土産屋さんだけ。

今後Hotel Japanがどのようになってゆくのか、非常に楽しみです。
来年にはニューヨーク、その翌年にはパリに、もしかしたらHotel Japanが出来ているのかもしれません。

将来「Hotel Japanはお土産屋さんからスタートした一流ホテル」になる日が来るのか、

それは実際にHotel Japanに足を運ぶとわかることかもしれません。

あ、しつこいですが、まだお土産屋さんだけです。


不思議な外観と空間の小さなホテル。

ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。




Hotel Japan

Hotel Japanは、架空のホテル。
このお店はそのギフトショップという設定です。

— いつ来ても、日本のオモシロイものに出会える、お土産屋さん。

世界を旅したことのある人なら誰しも、
日本のホスピタリティや品質へのこだわりが
群を抜いていることを実感するでしょう。

デザインやファッションに関心のある人なら
独創的でシンプル、ときにクレイジーな、
日本発の製品やエンターテイメントをご存知でしょう。

ニューヨークやロンドンなどの国際都市には、
多くの「日本風」のお店が存在しています。
しかしそれらは、質やクリエイティビティにおいて、必ずしもホンモノではない。
私たち日本人にとって、非常に残念なことです。

Hotel Japanはホンモノの日本を「輸出」します。

足を踏み入れたあなたは、
ドアマンの丁寧なお辞儀と出会うでしょう。
フロントデスクには、いつも適温のおしぼりサービス。
— おまちしておりました。

建築やインテリア、サービスのすべてを
日本で一流と言われる人や企業が提供します。
1階は、日本人シェフによる炉端焼き。
2階は、最先端テクノロジーのカラオケルーム。
日本独自の文化で、一室ずつデザインされた、
任天堂の部屋、MUJIの部屋、キティの部屋。
アメニティは、やさしい垢擦りタオルに消臭除菌スプレー。
美味しいものを少しずつ、BENTO STYLEの朝食が人気です。
タクシーの扉は、もちろん、自動的に開きます。

Hotel Japanは、日本人のクリエイター、
原野守弘、八木義博、筒井晴子によって誕生しました。
お金がないので、今はコンセプトだけ、架空のホテルです。
こんな夢を共有できるホテルオーナーとの出会いを楽しみに、
まずは、この小さなお土産屋さんから始めます。




「Hotel Japan」
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-41-5
定休日:日曜・月曜
営業時間:12:00~19:00
TEL:03-6873-1716
URL:http://hoteljapan.jp/















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Profile

石崎孝多 / Kouta Ishizaki
フリーペーパー専門店「Only Free Paper」元代表。新聞のみの「Only News Paper」、Amazonにない本を紹介する「nomazon」、 漫画と音楽の企画「ミエルレコード」(OTOWAとの「紙巻きオルゴール漫画」で 第17回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 審査委員会推薦作品選出)、 原宿THE TERMINALでの「PRESSROOM」ディレクターなど、 様々なプロジェクトに関わりながら企画、執筆、ディレクションなどを行っている。
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Writer:Kouta Ishizaki
Editor:Atsushi Shimizu
Photo:Shinya Rachi(Photographer
Logo :Masataka Maruyama(circle-d




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